いまや日本人口の30%以上が日常的にゲームをプレイする時代ですが、ゲームの開発費用はどのくらいだと思いますか?
昔も今もゲームは先行投資型のビジネスのため、ゲーム開発にはあまり大きな費用がかかっていないと思われる人もいるかもしれません。
ファミコンが発売された約40年前、ファミコンのゲームは出せば売れるというファミコンバブルで、ハイリターンが期待できるビジネスでした。しかも、この当時のゲーム開発費は驚くほど少ない額だったためローリスクハイリターンという夢のような状況でした。
しかし、ゲームの開発費用が少ないということは必然的に品質管理にかけられるお金も少ないということになります。
そうなると、本来必要なテストすらも十分に行えずバグを検出し切れなくなってしまいます。そのままゲームが発売されてしまうと、バグだらけのゲームがユーザーの手に渡ってしまうことになるでしょう。
ここでは、気になるゲームの開発費用やテスト費用などについて考えてみたいと思います。
ゲーム開発費とテスト費用
ある調査では、コンシューマーゲームの開発費が『1億円以上』の割合は約40%で、スマホゲームの開発費が『1億円以上』の割合はなんと約80%にものぼっています…!
さらにスマホゲームの開発費の中では『1億円~5億円』の割合が約60%というデータになっており、スマホゲームでは数億円かけるのが当たり前になっていると言えるでしょう。
『1億円』という少し粗いラインではあるものの、コンシューマーゲームの約60%が1億円以下で開発されていることに驚きます…!
ゲームというとコンシューマーゲームのイメージは根強いと思いますが、1億円以下の開発費というのは意外ですね!
コンシューマーゲームの開発費が『1億円以上』の割合は約40%ですが、コンシューマーゲームでは開発費が10億円以上となることも珍しくありません。
大作のコンシューマーゲームでは開発費が50億円~100億円かかりますので、大作やヒット作の開発費はコンシューマーゲームが高く、平均的な開発費はスマホゲームが高いと言えるかもしれません。
少しスマホゲームに焦点をあててみましょう。
スマホゲームは『新規ユーザーの獲得』『既存ユーザーの維持』が非常に重要で、継続的に新規機能の実装や既存機能の改修、定期的なイベント開催などがされますが、毎月の開発費やテスト費用はどうなっているのでしょうか?
これは私の経験上のお話ではありますが、以下の金額規模であると感じています。
売上 (1か月) | 開発費 (1か月) | テスト費用 (1か月) |
1億円 | 3000万円 | 500万円 |
5億円 | 1.5億円 | 4000万円 |
20億円 | 4億円 | 1億円 |
スマホゲームの運営は月3000万円が目安となるため、売上が月5000万円を下回ってくるとサービスの存続を考えなくてはならなくなります。
開発費高騰の一因はグラフィック?
コンシューマーゲームもスマホゲームも美麗なグラフィックが当たり前になり、世界観やキャラクターも非常にリアルであることが多くなっています。
時代を追うごとにゲームボリュームは拡大していますが、実はプログラム部分の開発コストはそこまで膨らんでおらず、ゲームの開発費が高騰している一因はグラフィック面にあるのです。
昔のゲームは2Dグラフィックが主流で作業工程や作業期間も3Dグラフィックより短いものでした。ゲームの進化につれて3Dグラフィックが当たり前になり、作業工程や作業期間は2Dグラフィック制作の数倍になっていきました。
ユーザーからするとそこまでリアルさを求めていなかったり、2Dグラフィックが良いという声もあると思いますが、なぜリアル路線になっていくのでしょうか?
純粋にリアルな3Dグラフィックの追求もあると思いますが、他にも世界観を表すためにリアルな世界が必要であったり、海外展開を見据えてリアル調にするといったことも考えられます。
開発費はファミコンの10倍!?
現代のゲーム開発費では数億円かかるようになりましたが、昔はどうだったのでしょうか?
家庭用ゲームという文化を確立させたともいえるファミコンですが、この時代のゲーム開発費は1000万円程度でした。この時代から比較すると、約40年でゲーム開発費は約10倍になったといえます。
ファミコン時代は出せば数万本は売れていた時代で、少し話題になると数十万本は軽く売れていました。
ファミコンソフト1本4800円、売上本数10万本として計算してみると、売上は4億8000万円にもなります。1000万円の投資で数億円の売上が見込めたこの時代、実に様々な会社がファミコンゲーム開発に乗り出してきました。
ゲームの開発費が1億円を超えるようになってきたのはPlayStation用ゲームソフトあたりでしょうか。
この時代はファミコンバブル期のように出せば数万本売れるような時代ではありませんが、比較的ゲームが売れていた時代であることは間違いないでしょう。
少し調べてみたところ、PlayStationの各世代のミリオンヒット数は以下でした。
PlayStation 2からPlayStation 3への落差が激しいですね。Wiiやswitchなどの任天堂ハードがライト層を中心に高い人気を獲得したため、PlayStationはゲーマー向けのハードという印象が強くなって一般受けしづらくなり、ゲームソフトの売上にも影響したのではないかと思います。
PlayStation:32タイトル PlayStation 2:23タイトル PlayStation 3:1タイトル PlayStation 4:3タイトル PlayStation 5:0タイトル
高額な開発費が回収出来ないことも多い
ここまでお話したとおりゲームビジネスは先行投資型で、とりわけスマホゲームではヒットすれば安定的に高い利益を得ることが可能になります。
しかし、スマホゲームはユーザー数が非常に重要で、ユーザーを獲得出来ないゲームはリリースから半年程度でサービス終了してしまうなど短命に終わることも珍しくありません。
このような場合、数億円の開発費がほぼそのまま赤字となってしまうことでしょう。
スマホゲームの平均寿命は2年半と言われていますが、短命で終わるゲームと長寿になるゲームで2極化が進んでいるにようにも感じます。
平均を取ると『2年半』になるのでしょうが、大多数のゲームはリリースから1年以内にサービス終了を検討せざるを得ないのではないでしょうか。
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