様々な呼び方をしても意味は同じ!?ゲームの品質管理の呼び方

ゲーム品質管理の呼び方品質管理

みなさんはゲームの品質管理というと『デバッグ』という言葉をイメージするかと思います。
いまではデバッグという呼び方が一般的ですが、デバッグ以外の言葉が使われているケースもあります。

ここでは、なぜデバッグ以外の言葉が使われるのかやゲームデバッグの文化について、まとめたいと思います。

品質管理のガラパゴス化

ゲームの品質管理というと『デバッグ』と聞くことが多いと思いますが、『デバッグ』以外の呼び方も聞いたことがあるのではないでしょうか?

私は20年以上QAに関わっていて、そのうちの半分以上はゲーム業界に身を置いていますが、その経験の中でゲームの品質管理を指すものとして、以下の言葉を耳にしてきました。

  • デバッグ(デバッガー)
  • テストプレイ(テストプレイヤー)
  • バグチェック
  • QA
  • 品質管理

最近では『テストプレイ』や『バグチェック』と呼ばれることは少なくなり、ゲーム業界では『デバッグ』と呼ばれることが一般的になりました。

これだけ様々な呼ばれ方をされていましたが、基本的には以下の意味合いとなります。

ゲームにバグが無いかを確認する活動

ただし、QA(品質保証)やQC(品質管理)と呼んでいる組織は、ただバグ探しだけをしているわけではなく、本当の意味でのQAやQCを行っている可能性が高いです。
※QAとQCについては、別の記事で詳しく解説できればと思います。

様々な呼び方をされるゲームの品質管理ですが、呼び方が異なる理由は組織文化の影響となります。
ゲーム業界では品質管理に関する体系的な知識が浸透しておらず、組織独自の呼び方をしてきたのです。

いまではソフトウェアテストという体系的な知識はありますが、昔はこういった体系的な知識は存在していませんでした。もうひとつ、ゲーム業界は閉鎖的で組織外と交流をする文化が薄かったため、自組織の中だけで独自の文化が形成され発展し、ガラパゴス化してきました。

『デバッグ』の言葉の正しい意味

ゲーム業界で使われる『デバッグ』という言葉ですが、実は正しい意味での使い方ではありません。『デバッグ』の正しい意味は、以下の内容になります。

ソフトウェアを動かしてバグが無いか探し、見つけたバグを修正する活動

あれ?何が正しくないの?と思った人もいるかもしれませんが、重要なのは後半の『見つけたバグを修正する活動』になります。
そうです、『デバッグ』とはバグを見つけるだけではなく、そのバグを修正する活動のことを指しているのです。自らバグを修正する必要があるため、一般的に考えるならプログラマーの活動になりますね。

しかし、ゲーム業界での『デバッグ』とは『バグが無いか探す』活動を指すことが一般的です。なぜゲーム業界だけ独自の言葉の使い方をしているのでしょうか?

確かな情報源が無いため私の憶測になりますが、以下のいずれかもしくは複数が影響しているのではないかと考えています。

  • 開発者が行っているデバッグの一部(バグ出し)を代行することから
  • デバッグではバグを出すことが重要であることから
  • 第三者検証会社(いわゆるデバッグ会社)がデバッグという言葉を使って営業し、ゲーム業界に浸透していった

『ゲームデバッグ』の文化

昔はデバッグは新人がやるものという考え方や、開発者が片手間にやっていたりしました。事実、ファミコン用などのゲームソフト開発では、デバッグ専任者はいない体制でした。

ゲームハードの進化によってゲームボリュームが大規模化していくと、それまでの体制では対応できなくなりデバッグも専任者が置かれるようになります。
しかし、昔からデバッグは新人がやる作業という風習になっており、その影響で『誰でも出来る仕事』と思われてきてしまい、デバッグはゲーム開発の中でも立ち位置も報酬も低い文化となっていってしまいました。

そのような文化になってしまった要因のひとつとして、個人の経験やセンスなどに強く依存する属人性の高さがあります。ゲームデバッグでは経験や勘、感性、感覚という漠然としたものを根拠とするため、他者への説明が論理だって行うことができず、相手に納得させたり理解させることができません。
また、専門的な知識を有していないことも問題です。これではどんなにバグを見つけられたとしても専門性を示せず、客観的な価値を指し示すことができません。

近年、特に非ゲームの分野では『ソフトウェアテスト』という考え方が当たり前になっています。詳しくは別の記事で解説しようと思いますが、『ソフトウェア』に対する基本的なテストの考え方や技術が体系的にまとまったものになります。

実はここ数年でゲーム業界でもソフトウェアテストの認知度が高まり浸透してきています。ゲームもソフトウェアのひとつであるため、ソフトウェアテストの考え方を活用することができるのです。

まとめ

ゲーム業界の品質管理はガラパゴス化が進み、組織ごとに独自の文化が形成されてきました。
しかし、非ゲームの分野で『ソフトウェアテスト』が当たり前になってくると、徐々にゲーム業界にもその考え方が入ってきて、いまではゲーム業界でも一般的になりつつあります。

近年では各組織がいわば開国し、異文化を取り入れ自組織のさらなる発展を目指したり、スタンダートモデルを取り入れて業界の潮流に乗ろうと活動をしています。

いまやただバグ探しをするだけでは時代遅れになってきています。

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