ラクなのにキツい!?ゲームデバッグのバイトがキツい3つの理由

ゲームのデバッグのバイトはキツいデバッグ

ゲームのデバッグ、テスト、品質管理などの仕事は、デスクワークにも関わらずよく『キツイ』と言われますが、それはなぜでしょうか?

ゲーム開発には『残業』、『徹夜』、『休日出勤』というイメージがついてまわりますが、今の時代はコンプライアンス遵守の意識が高く勤怠管理もしっかりされています。そのため、過度な残業や徹夜、休日出勤などの過重労働はあまり見かけなくなりました。

にも関わらず、いまだに『キツイ』と言われます。

そこには、肉体的な面以外に理由がありました。

デバッグの仕事がキツイ理由①:単調作業

この仕事には、大きくデバッグ型とソフトウェアテスト型の2種類に分かれます。

デバッグ型
作業者が自由にプレイしてバグを探す活動が中心
経験をベースにしているため、専門的な知識は求められない

ソフトウェアテスト型
何にどういう確認をするのか考え、機能の正しさの確認を行う
バグを探す活動も行うが、その際にはテスト活動のデータを活用し、経験に依存しない形を取る
ソフトウェアテストに関する専門的な知識が求められる

どちらのタイプもチェックリストやテストケースといったものを活用するのですが、総量では数千~数万にも及ぶことがあります。
これを数人~数十人の作業者で分割して進めていくのですが、平均すると1人1日100~200程度の確認を行うことになります。

確認内容は様々ですが、時には似たような確認が数十個続くこともあり、非常に集中力を要します。単調作業は続くと眠気を誘ってきますが、これが結構しんどかったりします。
特に昼食後は血糖値も上がっているため、ぼーっとしたり眠気が強くなったりするため、それに耐えきれずに居眠りをしてしまう作業者も出てきます。

居眠りしてしまうと作業の遅れに繋がったり、周りの作業者が居眠りに気付いてしまうと関係性の悪化に繋がったり、評価が下がったりしてしまいます。

この部分は、人によってかなり顕著に合う合わないが出ます。合わない人は数日で仕事自体を辞めてしまうこともあります。

ただ、これは仕事に対する意識も関係している可能性があります。
言われたことだけをやるタイプの人だと、この仕事を単調作業でつまらないと感じてしまうでしょう。
しかし、能動的に行動するタイプの人だと、チェックリストやテストケースに書かれていない部分も自分なりに考えて確認を行っていきます。

仕事が楽しいかつまらないかは、この意識や行動の差ではないかとも考えられます。

デバッグの仕事がキツイ理由②:待遇が低い

ゲーム業界では古くからデバッグ型の品質管理文化が根強くあります。
デバッグ型では専門的な知識や技術は求められないため、誰でも出来る作業だと思われてきました。その文化がいまでも残っているため、ゲームの品質管理は待遇面が低くなっています。

雇用形態もアルバイトがかなり多く、作業者レイヤーは基本的にはアルバイトで管理者レイヤーが社員という形でやっている組織は多いです。

アルバイトは時給制となりますが、時給は最低賃金程度となります。
例えば、2022年の東京都の最低賃金は時給1072円となります。この時給でフルタイムで働いた場合、給料はおよそ17万円となります。ここから保険や税金が引かれると、手取りでは15万円程度でしょうか。
この手取りでは一人暮らしはおろか自由に使えるお金も少なく、生活は厳しいことでしょう。

私は昔(デバッガー時代)、このくらいの収入で一人暮らしをしていましたが、物欲がそこまで無かったため、食費を節約することでいくらか貯金をすることも出来ました。
そのときの話は以下にまとめてありますので、気になる方はぜひご覧ください。

この待遇の低さはゲーム業界の古くからの文化ではありますが、そこに拍車をかけるように2社のデバッグ会社が低価格路線で事業を展開していきます。
しかし、安かろう悪かろうではお客様の信頼を勝ち取ることは出来ず、質が求められる部分では他社へのリプレイスが進んでいるとも聞きます。

デバッグの仕事がキツイ理由③:汎用的なスキルが身につかない

スキルには、その組織や特定の業務などに必要なテクニカルスキルと、どの仕事でも汎用的に活用できるポータブルスキルの2種類に分けることができます。

正直、デバッグ型の作業者レベルでは、このどちらもあまり成長は見込めないでしょう。
デバッグ型は経験ベースになり専門的な知識や技術の活用度合いが極端に低く、作業者レベルでは顧客折衝・渉外といった役割が含まれないため、経験する機会がそもそもないのです。

一方でソフトウェアテスト型の場合は、少なくともソフトウェアテストというテクニカルスキルが磨かれていくことになります。
ソフトウェアテストという専門知識は、ゲームでも非ゲームの領域でもどちらでも活用できるテクニカルスキルになります。品質管理の仕事でキャリアを積んでいこうと考えるならば、いまの時代は必須に近いレベルで必要になります。

まとめ

ゲームの品質管理の仕事は、その重要性と待遇や立ち位置が比例せず、まだまだ誤解をされているようにも感じます。
この仕事の一般的なイメージはデバッグ型かと思いますが、実はいまはソフトウェアテスト型が台頭してきており、特にスマホゲームではソフトウェアテストを土台とした品質管理が主流になっています。

デバッグ型の作業者レベルではスキルアップは厳しいものがありますが、管理者レベルでは十分スキルが身に付きます。
管理スキルもポータブルスキルのひとつであるため、会社やチーム、業種が変わったとしても活用できることでしょう。

スキルは身に着けられるかは自分次第でもあります。
スキルアップは自分から学んでいくものであるため、与えられた範囲の作業しかしていないのであれば、スキルアップ出来ないのも当然と言えます。

プロフィール
TERU

ゲーム業界中心にQA歴20年以上。これまで100以上のタイトル/プロジェクトに関わる。パブリッシャー品管、テスト会社、コンシューマーゲーム、モバイルゲームなど幅広く経験。ゲームも非ゲームもわかり、現場も管理も出来るレアキャラ。

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